令和8年(2026年)8月6日(木)、SAE教師講習会を開催し、教師ライセンス保有者、学校付け限定教師ライセンス保有者およびペット災害危機管理士®講師を対象とした研修を実施しました。
午前・午後の二部構成で行われ、午後は各専科に分かれた分科会を実施しました。
【午前の部】
文部科学省総合教育政策局 生涯学習推進課 専修学校教育振興室長 真保洋氏を講師に迎え、「令和8年度施行の学校教育法の一部改正の趣旨と、専修学校に求められる質保証および教員の役割について」と題した基調講演が行われました。
学校教育法改正の背景や専修学校を取り巻く環境の変化、教育の質保証、教員に求められる役割などについて説明があり、教育者として社会的責任を再認識する有意義な講演となりました。

【午後の部】
■トリマー委員会
全国の加盟校からご参加いただき、SAEトリマーライセンス「初級」「中級」実技試験の採点基準や指導方法について理解を深める講習会を開催しました。
トリマー委員会の担当理事兼中央委員長の白川より、実技試験における採点基準や採点時の注意点について説明するとともに、これから現場で活躍するプロトリマーを育成するためには「基礎」を大切にした指導が不可欠であることをお伝えしました。
実技では、カット済みのウィッグを2体使用し、各先生方に実際の採点を行っていただき、採点後には合格・不合格と判断した理由を全員で確認し、評価基準の統一を図りました。
初級評価では、「左右対称にカットされているか」「面がきれいに揃っているか」といった基本技術を重視して評価することを確認しました。
中級評価では、犬種への理解や表現力に加え、犬種標準(スタンダード)にどれだけ近づけられているか、さらに各部位のつながりや全体のバランスまで考慮して評価することを確認しました。また、コーミングや立毛の仕上がりへの影響や、シザーの開閉と移動速度といった基本技術についても、採点時に注意して確認する必要があることを共有しました。
試験中の所作については、犬や道具の扱い方、マナー、作業の流れなど、仕上がり以外の評価項目についても加点・減点のポイントを確認しました。試験結果に大きく影響する項目であることから、どのような視点で評価するかについて認識を統一しました。
また、指導時の注意点として、先生方が普段の授業中チェックの際に行うハサミの動きを学生がそのまま真似することがあるため、学生の前でカットを行う際には、普段のサロンワークとは区別し、基礎のお手本となるシザーワークを意識していただくようお伝えしました。
試験犬については、チワワ、ダックスフンド、ポメラニアン、MIX犬など犬種ごとの評価基準を説明し、犬種によって評価対象とならない部位があることから、その場合の加点の考え方についても共有しました。
さらに、他団体のカットラインと混同しないよう、SAE独自の評価基準に基づいて指導・採点を行うことの重要性についても説明しました。学生への指導においても、他団体との違いを正しく理解したうえで指導することが、公平な試験評価につながることを確認しました。
最後に、「基礎」の重要性について改めてお伝えしました。近年は「早くカットがしたい」という意識が先行し、シャンプーやブローといった基本技術への意識が薄れる傾向が見られます。しかし、美しいカットを仕上げるためには、丁寧なシャンプーで被毛を清潔な状態にし、正確なブローを行うことが不可欠です。一つひとつの工程がすべて仕上がりにつながっていることを学生へ丁寧に指導していただき、基礎を大切にしながら高いレベルで試験に臨めるよう、教師の皆様へお願いしました。

■家庭犬訓練士委員会
家庭犬訓練士委員会の部会では、計6名の家庭犬訓練士教師に参加いただき、担当理事兼中央委員長の佐藤による進行のもと、
●ライセンス試験規定の見直し
●競技会開催に関する報告事項
●SAE発行ドッグトレーニングテキストの内容改訂の思案
などを議題に行われました。
家庭犬訓練士ライセンスの試験規定やテキストの内容改訂に関しての話し合いでは、昨今のペット業界や飼い主の意識の変化などを主軸とした意見交換が活発に行われました。
家庭犬訓練士ライセンスが、より現代の家庭犬に寄り添った知識や技術を身につけられるものになるよう、参加者全員から意見が積極的に飛び交う充実した議論となりました。
また、実技試験の採点に関する認識も細かいすり合わせが行われ、ライセンスの公平性維持のために重要な機会だったと感じます。
参加した先生同士で部会外での意見交換も多く行われ、普段接点が少ない先生方の交流の場としても大変有意義な機会になりました。

■ペット災害危機管理士®講師会
第1部として、まずSAE事務局長 森川泰知氏より、協会のこれまでの歩みや全国で進めている自治体・企業との連携実績、組織としての方向性、そしてペット災害危機管理士®講師に期待する役割について約40分間にわたり説明が行われました。
講師には、単に講座を開催するだけではなく、地域におけるペット防災の推進役として活動するとともに、協会の理念を社会へ広く発信し、平時から行政や地域との連携を深めていくことへの期待が示されました。また、有事には組織として迅速かつ的確な行動をとるため、報告・連絡体制を徹底することの重要性についても共有されました。
第2部は鈴木清隆統括講師の進行により、「避難所へ避難した飼い主向け行動ガイド」の作成をテーマとしたグループワークを実施しました。
本ワークショップは、「発災直後に避難所へ到着した飼い主が、行政職員から十分な説明を受けられない状況でも、A4一枚を見るだけで必要な行動が理解できる資料」を全国の講師が共同で制作することを目的として企画されたものです。
参加した23名の講師を5チームに分け、各チームにリーダーおよびサブリーダーを配置しました。リーダーを中心に意見を整理しながら議論を進め、避難所へ到着した飼い主に対し、「何を、どの順番で、どのような表現で伝えるべきか」という視点から活発な意見交換が行われました。
限られた時間の中で、それぞれのチームが講師としての経験や自治体での活動実績、実際の災害対応事例を持ち寄りながら、より実践的で分かりやすい内容を目指して検討を重ねました。各グループとも真剣な議論が交わされ、会場全体が教材づくりに取り組む熱気に包まれました。

グループワーク終了後は、各チーム5分間の持ち時間で成果物を発表しました。それぞれ異なる視点や工夫が盛り込まれており、受付時の対応、人命優先の考え方、ペットの管理方法、避難所でのルール、周囲への配慮など、多くの有益な意見が共有されました。

その後、5チームすべての成果物を参加者全員で回覧し、それぞれの長所や改善点を確認したうえで、前面のホワイトボードを用いて「協会として全国へ発信する標準版」を作成するための全体討議を実施しました。約20分にわたり、講師全員が自由に意見を出し合い、「より伝わる表現」「優先順位」「必要最低限の情報量」について一つひとつ確認しながら検討を進めました。
議論の結果、全員が納得できる方向性が共有され、協会標準版となるチラシの下案を完成させることができました。これは、一つのチームだけではなく、参加した23名全員の知識と経験を集約して作り上げた成果物であり、本研修最大の成果となりました。
今後は、この下案をもとに協会においてレイアウトやデザインを含めた清書・ブラッシュアップを行い、完成版を講師へ配布するとともに、自治体への提案資料、避難所での掲示・配布、講座教材、防災イベント等において全国共通で活用できる教材として展開していく予定です。
今回の災害講師会は、従来の「講義を受ける研修」ではなく、講師一人ひとりが教材開発に参画し、全国へ発信できる成果物を共同で作り上げる参加型研修として実施されました。講師同士の知識や経験を共有するとともに、協会として統一した教育品質を目指す第一歩となる大変有意義な研修となりました。
本会は、優れた人材の輩出につながる教育水準の高さを保つために教師陣の育成に注力し、動物専門教育の発展に寄与してまいります。
